Chem-E-Car Trial優勝
学生ロボコン,鳥人間コンテスト,プログラミングコンテストなど,大学生が自主的に参加できる様々なコンテストが存在しますが,「化学」と「工学」を題材としたコンテストは少ない状況です。そのような中で,海外に目を向けると,学生の化学技術教育のために Chem-E-Car Competition という名称の行事がアメリカ化学工学会主催で毎年開催されています。この行事では学生が化学エネルギーで自走するミニチュア自動車を自作し,大会開始時に指定される積載物重量と走行距離から反応物質の量や濃度を調節し,その自動車を走行させてターゲットとする距離で停止させる競技を行います。学生は独自のアイデアに基づきグループで化学自動車の設計・製作を行います。このような創造的な経験により,学生は科学的な原理に関する理解を深め,工学的な能力や安全に関する実務的な能力まで身に付けます。
化学工学会第50回秋季大会(鹿児島大学)の前日の2018年9月17日に,同学会会場にて日本で初めて全国的な行事としてChem-E-Car Trialが開催されました。ここでは、海外と比較して広い会場を使用しにくい日本の環境にアレンジされたルールで開催されました。京大からは工学研究科化学工学専攻の大学
院生および工学部工業化学科化学プロセス工学コースの4年生から2チームが編成され,参加しました。その内,修士1年1名と学部生4名からなる「京大2」チームはこの大会で優勝しました。初めて日本で開催されたChem-E-Car競技における優勝であり,歴史的な快挙であります。このチームの優勝と努力に対して,3月に工学研究科長賞が授与されました。
近年,様々な分野でバーチャル化が進み,学生が「もの作り」に関与する機会が少なくなってきています。その状況の中,日本でも全国的な Chem-E-Car 競技会が始まり,その最初の優勝者になれたことは誇らしいことであると思います。
(化学工学専攻 教授 佐野紀彰)
<メンバー>
・謝 豪 霆(M1)
・池 本 陸(4回生)
・岡田 知樹(4回生)
・田中 志穂(4回生)
・室谷 尚吾(4回生)
※( )内の学年は受賞当時の学年