情報学科計算機科学コースでの教育支援

技術職員 加藤和成

技術職員加藤様.png 私は2016年の4月に京都大学に採用されました。
 私自身が学生だった頃は,電気電子工学専攻で電子回路の低消費電力化の研究をしていました。集積回路を設計,作成し,その回路特性をファンクションジェネレータやオシロスコープを使用して測定するということをしていました。また前職では工業高校電気科の実習助手という仕事をしており,そこでは高校生への実験や制作実習の授業を通して,教育と手を動かしてモノを作ることに多く携わっていました。
 京都大学で採用されてからは,情報学科の計算機科学コースの技術職員として,コースWebサイトの管理などの情報系業務,コースで利用している計算機端末の管理などを担当しており,その中で主要な業務は学生実験の教育支援となっています。具体的には実験を実施するための計算機環境の整備,実験課題の作成や講義など行っていますが,実験の中で学生から来る質問に対応することも教育支援において重要な役割の一つであると私は感じています。

 計算機科学コースの学生実験では大きく分類して,回路の測定や設計をするハードウェア実験と,プログラムの作成をするソフトウェア実験がありますが,どちらの実験にも3回生で実施されるテーマには後に仕事になるであろう開発や研究の疑似体験となるようなものがあります。例えば,3回生で実施されているハードウェア実験では,CPUの制作を課題としています。学生が2~3人のチームとなって独自のCPUを設計,作成し,そのCPU上で独自のプログラムを走らせるという課題です。課題を進める上で学生は様々な問題にぶつかります。初期段階ではCPUを構成する素子の役割についてなど知識面に関する質問がよくきます。このような質問には,「この本のこのページに書いてあるよ」などと教えてあげればよいのですが,実験の中盤になってくると知識だけでは解決しない問題を抱えるようになってきます。つまり,思っていたような動作にならない,想定していた性能が出ない,などです。このような問題の解決は知識だけでは難しく,また全ての人に共通するような確立された回答があるわけでもありません。実際に制作を経験する中で試行錯誤し,自分なりの解決策を学んでいくものです。このような質問に対しては答えを示すのではなく,その問題に対してどのように取り組めば解決に向かうのかをアドバイスするように心がけています。
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 学生たちが実験の中で問題解決のノウハウを学び,これからの人生のなかで活かしてもらえれば嬉しい限りです。
 斯く言う私ですが,まだまだ知識も経験も不十分で,学生の質問に対してもうまくアドバイスができないときもあります。的確なアドバイスを提供するためには,私自身が様々な問題に直面し,それを解決するという経験を経る必要があるかと思います。
 そのため常日頃,時間を見つけては自分自身でもCPUやプログラムの作成をして,その時にぶつかった問題やそれを解決した経験をメモにとり,残しておくようにしています。
 これから先も知識と経験を積み重ね,学生たちの問題解決の一助となれるような教育支援を提供できるよう,精進していきたいと思います。

(情報学科)