採用から半年-自己紹介と放射実験室での仕事について

専門職(技術) 水谷仁美

 私は,博士課程を修了後,1年弱ほど地方公務員として働いたのち,2025年2月,京都大学工学研究科に専門職(技術)として採用されました。普段は,宇治キャンパスの放射実験室にて業務を行っています。本稿では,京都大学で働き始めてから約半年がたち,こちらで採用されて感じたことと,私の業務内容についてご紹介したいと思います。
 まず,主な業務の一つは,RI施設の管理です。私がいる放射実験室は放射線を取り扱う施設であり,法令の規制を受ける管理区域があります。その管理のため、放射線管理責任者として,法令で定められた業務等を行っています。具体的には,放射性物質による汚染の測定,各種測定器の点検・校正,排水中及び廃棄中のRI濃度測定などです。初めは測定器の使い方や測定方法などわからないことも多くありましたが,周りの教職員の方に丁寧に教えていただき,また法令や予防規定等を適宜参照しながら,業務を進めています。
 次に,二つ目の主な業務として,共同利用実験装置の管理業務があります。現在,放射実験室には,バンデ・グラーフ型イオン加速器,バンデ・グラーフ型電子加速器,コッククロフト・ワルトン型タンデム加速器,バンデ・グラーフ型ペレトロンタンデム加速器の計4台の加速器があり,一部施設は共同利用設備として,イオンビーム分析や材料照射を行う学内外の研究者に広く開放されています。私はそれらの加速器の保守・管理を担当しています。学生時代は,金属ナノ構造体を研究対象としており,その表面分析や基板の表面改質の手段として,イオンビームや電子線などを利用していました。しかし,加速器や放射線を専門としてきたわけではないため,わからない専門用語や装置もあり,現在研究会等にも参加させていただいただきながら,猛勉強中です。また,装置の詳細な使い方やエラーの出やすいところなどは,実際に動かしてみないとわからないことが多くあるため,周りにいらっしゃる教職員や学生の方々に教えていただいたり,マシンタイムで空いている日があれば使用させていただいたりしながら,現場でひとつずつ学んでいます。これら保守・管理業務以外に,委託分析や,学生実験などにも少しずつ関わらせていただく予定です。
 京都大学に採用された当初は,新しい仕事にワクワクすると同時に,同時期に採用された同じ職種の方がいないことに対する不安も少しありました。しかし,身近におられる教職員や,先輩職員の方々に仕事の進め方などについてご相談させていただき,丁寧に教えていただく中で,そのような不安はなくなりました。今後も,業務で学内外の方々と交流させていただきながら,加速器分析や,その周辺分野についてさらに勉強し,最先端の知識を吸収して,より深いところでの研究支援や教育支援などにも関われるようになりたいと思います。ご指導ご鞭撻のほど,何卒よろしくお願いいたします。

(技術室)

ペレトロンタンデム加速器