建築学専攻 小見山研究室が、吉田キャンパスに新設されたDIINセンター(ディスアビリティ・インクルージョンセンター)内の活動スペース「DIINスタジオ」のための什器の設計を行いました。

建築学専攻小見山研究室が、吉田キャンパスに新設されたDIINセンター(ディスアビリティ・インクルージョンセンター)内の活動スペース「DIINスタジオ」のための什器の設計を行いました。障がいのある学生等のための支援器具のフィッティング(試着、調整)や、センタースタッフらのミーティングなど、異なる場面に合わせて部屋が可変できるような什器の製作が求められました。施設を主宰する村田淳先生と打合せを重ね、実際の製作を行う喜木家具工房の南山喜揮さんの助言も得ながらプロジェクトは進められました。

建築学専攻 小見山 陽介 講師より

打合せを重ねる中で出てきたアイデアが「屏風」の機構でした。屏風は開閉によって簡単に空間を変えることができ、コンパクトに畳むこともできるので収納スペースの限られたDIINスタジオにも適しています。屏風を構成するパネルをただの板ではなく加工され機能を付与されたものとすることで、その組み合わせによる使い方の幅はさらに広がりました。例えば、間仕切りとして使用する際には他者の視線を遮ったり空間を構造化したりする役割を担い、普段はものを引っ掛けて収納する棚となり、屏風を取り外せばテーブルの天板として利用することもできます。


開閉によって空間を変えることができる屏風状の什器


屏風と同じ折り畳みの機構を用いた椅子と、屏風を固定するための「島」と名付けた家具も設計しました。椅子の形状はシンプルな六面体(立方体)とし、単体で座れるほか、積み上げれば机の脚や棚としても使える自由度を持たせています。中は空洞で、底にはキャスター付きでスムーズに動かせるため、来客のちょっとした荷物を収納したり、イベント時には台車代わりに荷物を運ぶ道具にもなることを意図しています。島は、屏風を安定させる支えになるほか、異なる高さに設けられた水平の棒材が支援器具をクランプやクリップで固定するための拠り所となります。後述のパラコードと組み合わせることでさらに様々な使い方が考えられそうです。


寸法体系を揃えた屏風・椅子・島は様々な組み合わせ方が可能


箱型の椅子は内部に収納を持ち、紐を解けば容易に解体できる

接合部にはパラコードと呼ばれる紐を用いました。登山でも使われる強度のある紐で、コードロックと組み合わせればロープワークに詳しくない人でも取り外しが容易で、屏風を外して机の天板にしたり、屏風と島との接合位置を簡単に変えることができます。紐を緩めることである程度の誤差も許容して固定できるため、想定外の組み合わせ方も可能です。紐と板との接合方法を様々検討した結果、最小限の穴を開けて紐を通すシンプルな方法に収斂しました。




固定しすぎないことで利用者自身が様々な使い方を発見できる

折り畳まれることや、引っ掛けることなど、固定し過ぎないことを統一のコンセプトに屏風・椅子・島の3つの什器を設計しました。設計された什器が、新しく開設されたDIINスタジオの使われ方に応じて自在に空間を変えていく助けとなることを期待したいと思います。

村田先生コメント
DIINセンターは「障害と社会」をテーマに権利と尊厳を考えて、多様なあり方を問い、実践・実装していくことを目指して設立されました。学ぶこと、働くこと、暮らすこと。それぞれの生活を自分らしく作り上げていく時、可変性や流動性は大きな可能性となります。本プロジェクトは、そのようなDIINセンターのフィロソフィを体現し、伝えるためのプロジェクトになったと考えています。

南山さんコメント
プロジェクトを進めるにあたり3つの什器の寸法・素材に統一性を持たせ、組合せ時にバランスよく柔軟に対応出来る様にアドバイスしました。結果は「揃えることで、自由になった」寸法と素材を統一し、無限の組み合わせを実現。使い手の思考で姿を変えるこの什器は正解を持たない「思考型」プロダクトです。想像力を問い、空間に新たな可能性を探るツールになればと思います。


設計:本田凌也、船留祐希、吉原綾音(小見山研究室)

監修:小見山陽介、中土居宏紀(小見山研究室)

助言:南山喜揮(喜木家具工房)

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