材料化学専攻に着任して – 研究生活・桂での暮らしについて

特定助教 辻優依

辻先生 昨年度博士(理学)の学位を取得して,今年度から工学研究科材料化学専攻生体材料化学分野にて特任助教として着任し,桂キャンパスでの研究生活を送っています。学生時代は中性子やX線などを用いて高分子ゲルを対象とした構造解析を専門として研究を行っていました。高分子ゲルは3次元的な高分子網目が溶媒を吸って膨潤した材料であり,ゼリーや豆腐,おむつの吸水剤,コンタクトレンズなど食品から医療・衛生用品に至るまで身の回りに溢れています。骨や歯などの硬組織を除いた私たちの肉体の大部分もゲルであると言えます。ここで挙げたように,ゲルは私たちにとって非常に身近な物質でありながらも,その構造を含め,まだまだ謎の多い物質です。その一つには,ゲルが溶媒を含んだ高分子固体であるが故に,通常の高分子液体に用いる分析化学的な手法が用いることができないためです。そこで,直接的に観察できない内部構造を調べる際に力を発揮するのが散乱法です。散乱法では散乱強度の散乱角度分布から構造を推定します。特に小角領域では大きなスケールの構造が見られるので,マクロスコピックな構造欠陥に着目した研究を行なっていました。この博士課程の時の研究経験を買っていただき,現在の研究室に特任助教として採用していただく流れとなりました。現所属になってからはX線散乱測定をする機会が多く,月に一回はSpring-8に出張するような生活を送っています。現在は以前とは少々異なり,ゲルではなくゴムを研究対象として扱っています。ゴムはゲルとは違って溶媒を含んではいませんが,ゲル同様高分子から成る三次元ネットワークであり,弾性を示す物質ということで共通する点は多いです。それでも,現在所属する研究室は生体材料化学研究室ということで,これまで扱ってこなかった生化学的な要素もあり,まだまだ勉強の日々です。また,これまでは構成員がわずか5人程度という規模の小さな研究室に所属していましたので,現在のような構成員が30人を超えるような所謂ビッグラボに所属したのは初めてです。研究室の使用のルールやメンバーとの関わり方など戸惑うことも多いですが,ビッグラボゆえの研究トピックの豊富さやメンバーの視野の広さに刺激を受ける日々です。この環境を活かして,学生時代とは異なる分野での研究テーマに取り組んでいきたいと考えています。
 最後に,桂キャンパスでの暮らしぶりについて述べて筆を置きたいと思います。高校を卒業以来これまで仙台・柏・札幌と様々な都市に住んできましたが,西日本に住むのはこれが初めてです。古都・京都に住むということでどんな暮らしか期待半分・不安半分でしたが,桂周辺の暮らしは非常に落ち着いた穏やかなもので気に入っています。また,キャンパスから京都市内が一望できるところもお気に入りの一つです。最近は新緑も美しく,このような環境に恵まれたキャンパスで研究に従事できていることを嬉しく思います。これからも科学の世界に少しでも貢献できるよう研究を続けていきたいと思っていますので,どうぞよろしくお願いいたします。

(材料化学専攻)

X線散乱測定を行なっているビームライン(BL05XU)
X線散乱測定を行なっているビームライン(BL05XU)