次世代学際院キックオフ
学際研究,異分野融合は,研究者にとって至極当然のことです。特に自分の研究を突き詰めていく工学者にとって,社会に研究成果を還元していくためには,どんな専門分野であっても,ほかの分野との連携,そして融合は決して避けられません。また,DXなど情報分野の発達は,異分野の融合を加速化させ,複雑な社会課題の解決のための新たなイノベーション創出を後押しするはずです。そのような背景の下で,工学研究科では,専攻・系の枠をこえた若手研究者の研究を通じた異分野交流の場を提供し,新たな総合知の習得と実践による次世代を担う研究者の育成を目的として,次世代学際院(Interdisciplinary Research Institute for the Next Generation, iRING)を令和5 年4 月に設置しました。
10月の活動開始に先駆け,4月末,研究科所属の若手研究者を対象に,学際院の活動に参画する「次世代研究者」を募集し,審査を経て41名が選出されました。またその中から6名が,コア研究者として自主的な活動の企画運営に携わることになりました。8月には,顔合わせを兼ねたキックオフミーティングを,カフェテリア・ソレイユにて開催しました。当日は,多くのメンバー(次世代研究者35名,運営委員6名)が参加し,自己紹介の後,ワイン片手にネームカードに記載した「研究キーワード」や研究者紹介冊子を糸口にフリーディスカッションで親睦を深めました。
10月からは,企画委員会におけるコア研究者らの話し合いを経て今後の具体的な活動内容が決まり,本格始動となりました。「学際研究ディスカバリープログラム」と名付けられたこの活動では,学際研究の糸口を見つけるために,次世代研究者はまず分野,職位などに関わらず無作為に4,5名からなる10のグループ“ティール(Teal)”に分けられました。ティールとは,メンバーがより対等で協力的な関係を築き,柔軟で反応性があり,研究や開発の分野でイノベーションを促進するのに有益で,パラダイムシフトを起こすきっかけとなりうる次世代組織体とされています。ティール活動を通じて,学際研究のきっかけを見つけることはもちろんですが,iRINGが目指すトランスファラブル・スキルの涵養も期待しています。各ティールの活動は,Slack上で公開され,他のティールメンバーもオブザーバーとして参加できるほか,議論の内容も随時オープンにされています。年度末には,活動報告を兼ねた交流セミナー(全体報告会)を,またもやワイン片手に開催しました。
また,自分の研究・アピールポイントを,基礎知識レベルに違いがある相手にどの程度わかりやすく,正確に伝えることができるかを客観的に確認する機会として,ERセンターと連携し,FDを兼ねて大学院共通科目のオムニバス講義にも一部参加させていただいています。
11月には,iRINGのウェブサイトも立ち上げましたので,ぜひご高覧ください。今後は,他部局あるいはKURAと連携した産業界へと交流の機会を拡げていきたいと考えています。
次世代学際院・iRINGは,ボトムアップ的活動を旨とする生まれたての組織です。交流がアイデアの種になり,その種が学際研究という芽を出すようになるには,いろいろなことを試す必要があります。iRINGの活動を長い目で見ていただければ幸甚です。
参考:iRING webサイト
https://www.iring.t.kyoto-u.ac.jp/ja