材料工学専攻教育研究支援室での業務

技術専門職員 鹿住 健司

鹿住様 私は2007年4月に教室系技術職員として採用され,材料工学専攻の教育研究支援室に配属されました。教育研究支援室は,それまでは研究室に所属していた技術職員が転属となり集められ,専攻全体に向けて技術的なサービスを行うためにできた組織で,私が採用されるのと同時に発足しました。教育研究支援室では,専攻で共同利用している装置の維持管理・操作指導・依頼測定,学部3回生の学生実験,情報系業務,安全衛生業務などを分担,協力して行っています。その中で最も大きな比重を占めるのが共同利用装置の業務で,私の担当装置は透過型電子顕微鏡(TEM),走査型電子顕微鏡(SEM),集束イオンビーム装置(FIB),SEM用またはTEM用の各種試料作製装置,X線回折装置などです。3回生の学生実験では準備業務とともに「金属破断面のSEM観察」,「実験試料の電子プローブ微小分析」を担当しています。採用されて14年が経ちましたが,業務内容に大きな変化はなく,担当装置が増えていったくらいです。
 採用されたときには業務の主軸になっている電子顕微鏡を含め担当業務についての知識・経験はまったくありませんでした。大学院生のときは光物性の研究室でポンプ-プローブ分光法の実験を行い,修了後に就いた前職では2年間,会社員としてJavaなどを使ったシステム開発を行っていました。大学院では研究室の教員や先輩が教えてくれ,会社でも上司や先輩の指導のもとで組織的に仕事に取り組む環境でしたが,技術職員となってからは周りの方々の手助けを受けつつも自己解決が基本となりました。そこで知識を得るべく本を読むようにしました。セミナー・講習会に行かせてもらったり,科目履修生になったりもしました。また経験したことを確実に積み上げていくために,観察・測定やメンテの経験をいつも記録し,それについて考察するようにしてきました。そうやって書かれたメモ記録は,例えばTEMについては79万字になりました。そのような日々の中で,徐々にできることが増えていくことに楽しさを感じるようになりました。テキストなどに書いてあることができるようになっただけではあるのですが,自分で試行錯誤してできるようになると達成感があります。また,できることが増えていく中で,初期には自分の未熟さへの焦燥感ばかりが強かったのですが,少しは自信をもてるようになっていきました。今後も好奇心をもって新しいことに取り組み,できることを増やしていけたらと思っています。

(材料工学専攻)