情報工学科設立50周年・計算機科学コース設立25周年記念行事について

前情報学科長・計算機科学コース長 湊  真一

湊先生

 令和2年(2020年)は,情報工学教室が昭和45年(1970年)に創設されてからちょうど50周年の節目にあたる。さらに平成7年(1995年)に情報工学科が数理工学科とともに改組されて情報学科が創設され,それまでの情報工学科が情報学科計算機科学コースとして再編されてから25周年の節目でもある。このような大きな歴史の流れの中で,情報工学科設立50周年・計算機科学コース設立25周年を祝う記念シンポジウム・パーティーを行うことと,(旧)情報工学教室30周年記念誌以降の変遷をとりまとめた記念誌を発行することが計算機科学コース教員会議で決議され,去る令和2年10月17日(土)に記念シンポジウムが挙行された。
 記念行事を準備するにあたっては,約1年前から,計算機科学コースを担当する教職員と,(旧)情報工学科および計算機科学コースの同窓会組織である情洛会の事務局が中心となって準備委員会(委員長・吉川正俊教授)を組織し,行事内容の検討や日程調整などの準備作業を行った。本年は情報工学教室50周年だけではなく計算機科学コース25周年の節目でもあることから,両者を併記した合同の記念行事とし,シニア世代から中堅・若手世代までが一堂に会して,世代を超えた交流が行われるような記念行事を企画することとなった。
 記念シンポジウム・パーティーは京大時計台ホールで開催する予定で,会場も確保し準備を進めてきたが,折しも新型コロナウイルス感染拡大の影響により,飲食を伴う記念パーティーは早い段階で中止(公式には無期延期)が決定し,記念シンポジウムのみを行うことになった。その記念シンポジウムも現地開催とオンライン開催のハイブリッド形式を模索したが,最終的には全面的なオンライン開催となった。それでも情報分野の研究者・技術者の同窓会らしく,むしろオンライン開催になったことにより,予想以上に多数の参加登録があり,最終的に約250名の参加者が集う盛大な記念シンポジウムとなった。
 当日のプログラムは,同窓会会長の田中克己名誉教授の開会の辞で始まり,情報学科長の挨拶,名誉教授・来賓による祝辞のあと,情報工学科創設時メンバーによるパネル討論,中堅世代メンバーによるパネル討論,そして若手世代によるパネル討論の3つのセッションが連続して行われた。それぞれのパネル討論は各世代の同窓生が現代の高度情報化社会においてどのように活躍しているかを実感させるものであり,たいへん意義深い記念シンポジウムとなった。パネルの後には,名誉教授の先生方からの近況と講評を頂き,最後に同窓会副会長の石田亨名誉教授の閉会の辞をもって記念シンポジウムは盛会のうちに終了した。さらに引き続いて,出身研究室ごとに分かれたオンライン懇親会が開催され,和やかな雰囲気で恩師や懐かしい仲間との再会と歓談が行われた。
 今回の記念シンポジウムの開催に合わせて,記念誌「情報学科計算機科学コース2000年代・2010年代の記録」が発行された。冊子体は保存用に必要な部数だけ印刷され,同窓生には電子版がオンラインで配布された。記念誌の編集にあたっては,情報学研究科長の河原達也教授が中心となって,情報工学教室及び計算機科学コースの50年の歩みを概観し,特に最近の20年間の変化について詳しく解説するものとなっている。これまでの各研究室の担当教員の変遷や,総合研究7号館の耐震改修と建物利用状況の変化,学生実験等のカリキュラムの変遷,特別研究題目一覧などが収録されており,本学における情報工学・計算機科学分野の教育研究の近年の流れを俯瞰できる記念誌としてまとめられている。
 以上の記念行事の企画・実施に際して,多くの関係者にご協力頂いたことをこの場を借りて深く感謝する次第である。特に同窓会組織である情洛会から人的・経済的な援助を頂いたことをここに記して,あらためて謝意を表したい。

(情報学研究科 通信・情報システム専攻 教授)

オンライン開催による記念シンポジウム開催の様子
オンライン開催による記念シンポジウム開催の様子
シンポジウム参加者の記念写真
シンポジウム参加者の記念写真
発行された記念誌
発行された記念誌